ロボカップジュニアで広く普及しているロボットキットTJ3Bを例に入門的なところを紹介してみたいと思います.
まずは,ロボットキットの概要と準備までです.
TJ3Bはダイセン電子工業のロボットキットで,ロボカップジュニアは大変多く使われています.
左の写真のように,電子基板に電池とモータとタイヤが付いたような姿をしています.
標準でセンサも備えているため,プログラムを作成すればこれだけで簡単に自律型ロボットを作ることができます.
「簡単に」とはいっても,こういったものに馴染みのない方は「どうやって?」と思われるかもしれません.
この手のロボットはほとんどの場合,
- パソコンを使ってプログラムを作る
- パソコンとロボット(TJ3B)をケーブルで接続する
- パソコンからロボットにプログラムを書き込む(転送する)
- ロボットからケーブルを外して,動作させる
といった手順で動かします.接続はだいたい下の図のようなイメージです.
したがって,最低限は下記のものが必要になります.
必要なもの | 今回の例 |
---|---|
ロボットキット |
TJ3B USBシリアル通信ケーブル,ロボカップジュニア公式ボール対応センサをセットにした場合は,約11,000円です. ダイセン電子工業のWebサイトやアマゾンなどで売っています. |
電池 | 単3乾電池×3本 図に描いていませんが,TJ3Bの電源として必要です. まずは100円ショップの単3乾電池で十分です. |
パソコン | Windowsパソコン TJ3Bではプログラミングソフトウェア「C-Style」がWindows用なので, Windowsパソコンを使います. |
USB-シリアル変換ケーブル | 忘れがちですが,大事なケーブルです. TJ3B専用の「USBシリアルケーブル」を使用するのが安心です. TJ3Bとセットでも売っています. |
説明が手抜きですみませんが…,
TJ3Bの場合は丁寧な説明書が付いてきますので,これを見ながら組み立てれば概ね問題ないかと思います.
ちなみに,説明書は
メーカのWebサイト
でダウンロードできますので,TJ3Bを買う前に確認することもできます.
TJ3B組立説明書
組立説明書に書いてあるものを含め,下記の道具を準備すると良いです.
- ラジオペンチ
TJ3Bの基板を分割するときに使います.
- ドライバセット
No.1(M3ビス用)とNo.2(M2.6ビス用)のドライバが必要です.
セットである必要はないですが,セットの方が安かったり,後々便利だったりします.
- ボックスドライバ
必須ではありませんが, ビスとナットを締めるときに,ナット側を回したり固定したりするためにあれば便利です.
M3ナットには5.5o,M2.6ナットには5oを使います.
無い場合はラジオペンチか,TJ3Bに付属の(簡易)スパナを使います.
組み立て時には下記に注意すると良いと思います.
- 基板をニッパで切らない
説明書にニッパで切るように書いてありますが,ニッパが傷むのでラジオペンチなどで折った方が良いです. - モータの向きに注意する
ちょっとわかりにくいので説明書の図を良く見ると良いです. - ネジの太さ・長さに注意する
最初のギアモータの組み付けではM2.6の少し細いネジを使います.
その他はM3のネジで,長さがいろいろあります.説明書の記載を良く確認すると良いです. - ネジはしっかり締める
ネジ(ビス)はスプリングワッシャーを入れる位置に注意しながら,順番に確実に締めると良いです.
締め方が不十分だと,ロボットを動かしているうちに緩んできます.
またも説明が手抜きですみませんが…,
TJ3Bの場合は丁寧な説明書が付いてきますので,これを見ながらパソコンの設定を進めれば問題ないかと思います.
こちらも,説明書は
メーカのWebサイト
でダウンロードできますので,TJ3Bを買う前に確認することもできます.
TJ3B C-Style導入編
TJ3Bにはパソコンでプログラムを作成するためにC-Styleという専用ソフトウェアが用意されています. 主にこれをインストールする作業になります.大まかな手順は下記のとおりです.詳細は説明書を参照してください.
- 準備
TJ3Bに同梱されているCDを準備します.メーカWebサイトからダウンロードでも良いです. - USBドライバのインストール
パソコンとロボットを接続するためのケーブル(USB-シリアル変換ケーブル)のためのドライバのインストールです. - プログラミングソフトC-Styleのインストール
これをインストールするとパソコンでTJ3Bのプログラムを作成できるようになります. - 動作確認
TJ3Bには初期状態で動作確認用のプログラムが書き込まれていますので,説明書に従って動作を確認します. また,パソコンとTJ3Bを接続し,センサモニタを使ってセンサの動作を確認します.
初めてのかたは馴染みがないかもしれない用語の紹介です.
- 自律型ロボット
ロボット自身が周囲の状況を判断して目的の作業を実行するようなロボットを自律型ロボットといいます.
身近な例では,ルンバのようなお掃除ロボットがあります. - 開発環境
プログラムを作る道具のことを「開発環境」と呼びます.
その範囲はまちまちで, 今回の例では,パソコン,プログラミングソフトウェア(C-Style),ケーブル,ロボットキット(TJ3B)を含めて開発環境と呼んだり, プログラミングソフトウェア(C-Style)のことを開発環境と呼んだりします. - ビルド
開発環境(C-Style)で作成した(人間がパソコンに入力した)プログラムを,ロボット(TJ3B)が実行できる形に変換することを「ビルド」といいます. 作業としてはC-Styleの画面にある「ビルド」というボタンを押すだけです.あとはパソコンがやってくれます. - ダウンロード
ビルドしたプログラムをパソコンからロボット(TJ3B)に書き込むことを「ダウンロード」といいます. TJ3BにダウンロードしたプログラムはTJ3Bの電源を切っても消えず,何度でも実行することができます.
もう一度ダウンロードすると上書きされます. - デバッグ
人間がプログラムを作成すると何かしらミスをするもので,最初からロボットが思ったように動くことは稀です. プログラムの間違いを見つけ修正することをデバッグといいます.